« 今日の映画番組から。 | トップページ | ゴールデングローブ賞発表。 »

2009年1月12日 (月)

アラトリステ

そういうわけで、やっと『アラトリステ』を観てまいりました。
世界に入りやすいお話だったかというと
そうでもなかったのですが、
淡々とした展開のリズムに慣れてきたころに
スペイン映画自体を観たことがなかったことに気が付きまして、
登場人物の反応や台詞まわしなど
いろいろと新鮮に感じるところがあり、
一般にスペインの映画というのはこんな感じなのかなと思いつつ
鑑賞いたしました。
歴史ものなんですが、確かに説明が少ない感がありました。
皆が良く知っているお話を映像化したとでもいうか
忠臣蔵ではないですが、
なんだかそういう類のものなのかな~という気がいたしました。
(原作小説を映画化したものだそうです。)
描かれるのは冒頭から血なまぐさい
リアルな戦闘シーンの連続だったり、
いろいろと息苦しい、常に死と荒廃が傍にある世の中で
それぞれのペースで生きて死んでいく人たちの姿でした。
お話に入り込みにくかった原因はもう一つありまして、
主人公をとりまく人たちの立ち位置をすぐに把握できなかったのと、
顔の見分けのつかない人が約二名おられまして(爆)
しばらく推測しながら観察していたところに問題があったようでした。
特に印象深かったのは、
スペインの絵画に見られるようなライティングのシーンが
多々見られたことでしたが
(ひとつはまんまベラスケスの絵で再登場しました)、
一方大航海時代以降のスペイン内部から見た歴史について
ほとんど知識がないことにも気が付きまして、
目からウロコが落ちる思いで大変興味深く見られました。

そういう時代のお話でしたので
全く明るくなる兆しの期待できるお話ではなく、
異端審問所は国内においてもやりたい放題で
ほとんど秘密警察、
もしくは権力者の私物と化していたのかとも思ったり、
国の内外とも凋落の一途をたどる様が切なかったり、
最後のシーンでは
黒門前の無勢など問題にならないくらいの状態で、
こういう殺し合いの繰り返しで
無数の人たちが無駄に命を落としていったのかと思うと
胸が詰まる気持ちがしました。
本当に長引く戦争と権力をめぐる争いと不平等に
庶民の暮らしは理不尽に逼迫させられ、
よどんだ世の中であったのだな~と思いました。
(この荒廃感は
妙な例えですけど、先日観た『K-20』の印象を思い出しました。)
「英雄」アラトリステは
戦争においては勇敢に働き、
そうでないときには剣の腕の覚えを生かして
頼まれ仕事をして食いつなぎ、
貧乏だけど誇りはあり、
愛している人はいるけれどうまくはいかず、
完璧な人間ではないけれど人間味にあふれていて、
人々に愛され尊敬された人のようでした。

私はもちろんヴィゴが主演する作品でありますし、
彼がこの作品を褒めちぎっていたのを聞いて
観てみたいと思っていたのですが、
ヴィゴファンなら必見といえるくらい、
素晴らしくカッコよく撮られていました。
剣さばきはLOTRとはまた違った感じがしまして、
二刀流なのもあるのですが、
フェンシングのような細身の剣を振りまわしているので
実践的すぎてなんだか目がちかちかとしてしまいました。
また銃や大砲など火薬を使う時代になってきていますので、
なんとなくつまらなさを感じたといいますか、
歩兵がお互いに大槍の束をかざして白兵戦に突入する一方で
騎馬と銃が登場してくると
一瞬桶狭間の戦いに見えたりもしました(^^;)。
いや、『ラストサムライ』の時代の方に近いでしょうか。
(飛び道具は卑怯だ・・・って今の時代よりもよほどのどかなのですが。
逮捕されそうになった時に
頭突きと剣ですばやく応戦したヴィゴの姿は
おお、剣の腕も石頭も健在だ、と
妙なところで受けてしまいました(やや不死身なところも;;)。
久し振りのマント姿のヴィゴは懐かしかったですが、
剣士の彼のアクションを堪能したければ
LOTRを見るほうが正解かなと個人的には思いました。
ヒダルゴの頃よりさらに渋さに磨きがかかって、
姿、演技ともに堪能できて良かったです。

ほかの俳優さんたちの中で印象に残ったのは、
戦友の息子イニゴと恋人のアンヘリカ、
親しい戦友たち、
恋人で(人妻ですが)女優のマリアなどでした。
もう少し人の見分けがついていれば
印象に残った人が増えたかもしれません(爆)。
マリア役の人はキレイな人だなあ~と思っていたのですが、
『パンズ・ラビリンス』のお母さん役の人だったようです。
また、すっかり忘れていたのですが、
エレナ・アナヤさんが出ていたのでした。
(↑えー、『ヴァンヘルシング』で最強の花嫁を演じた方です。)
造詣がとても普通だったので(←当たり前;;)
エンドクレジットを見るまで気が付きませんでした。
そういえば映画完成後には
各地で写真が出ていたのを見たはずで、
それがもうずいぶん前のことだったのに気付いて少々愕然としました。
よく今になって日本で公開されたものです。
『イースタン・プロミス』のアカデミー賞ノミネート効果だとすれば、
やはりその影響力はあなどれないものがありそうです。


「一剣客物語」として、ある時代のスペインを
おそらく出来る限りリアルに切り取ったお話でしたので、
そういう視点で見ることに興味を覚える方、
またはもちろんヴィゴや俳優さんたちのファンの方には
おすすめできる作品かと思います。
無敵艦隊時代以降のスペインのことを
本当に知らなかった己を自覚できた映画でした(^^;)。

|

« 今日の映画番組から。 | トップページ | ゴールデングローブ賞発表。 »

映画感想」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 今日の映画番組から。 | トップページ | ゴールデングローブ賞発表。 »