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2008年5月31日 (土)

つぐない

昨日の前振りとは実は無関係で、
今日まで有効のポイントカードで見てきたのですが;;、
映画館が大変賑わっているのに驚きました。
明日の映画の日を避けられてラッキーだったかもしれません。

とはいえ、
ついマカヴォイさんに注目して見たことは確かです(^^;)。
ゴールデングローブにノミネートされていましたが、
大変表情が豊かで、
二枚目路線というよりは叩き上げの演技派の風情でした。
こざっぱりとしたタキシードよりも
薄汚れた兵士姿が大変素敵に見えたりしまして;;、
大きな振りのある人生を余すところなく演じていました。
(彼のパートの)ラストあたりも良かったです。
相当引き出しを持っていそうな感じで、
役で化けそうな予感が大あり。
もし本当にこの人が(ビルボ)候補に挙がっているのなら
目をつけた人はすごいな~と思いもしました。
さらには体格も全体にまとまった体型といいますか、やや小柄で、
ホビットをやってもよさそうな感じです(爆)。
薄い青い瞳が印象的で、
同じくスコットランド出身のジェリーさんも
こんな感じの瞳ですよね。(色が違います;;。)
発音も問題なさそうです。
映画を見ながら、誰かを彷彿とするよな~と思っていたのですが、
なぜか出てきた名前がアンディ・サーキス・・・。
(ちょっと違うかも。でも誰かを連想させるんですよ。)
なんとなく、目元を見ているとそういうふうに思ってしまいました。
まだまだいろいろな噂や推測が出てきそうですが、
いずれにしても
全てはデル・トロやPJたちのアナウンス待ちです。


ということで、『つぐない』です。
公開中なので、一部白文字にします。
思い切りネタばれしていますので、
未見の方はご注意くださいませ。


切なくて、美しくて、果てしなく救いがなく、
またちょっと不思議な映画でした。
といいますのが、
時間軸が何度も戻る、もしくは視点を変えて何度も語られ、
時に少し内容が変わっているように見えました。
回想なのか空想なのかはたまた妄想なのか?と
シーンを脳裏に焼き付けながら、
追っていたんですが、
見終わってしばらくしてから(いつも遅いんですけどね)
ああ、そういうことだったのか~と思ったのですが。

(事実と、それを語った小説の差異だったのかと。)

そして、タイトルの意味はまさに
ブライオニーの『贖罪』だったのでした。


タイプライターの音と不安を感じさせるような音楽、
いらだたしさを増幅するような蜂の羽音、
足音の響き渡る天井の高いお屋敷、植物の茂る庭、
噴水やプール、滝つぼ?の冷いやりとした水の感触、
台詞が少なく、情景でお話を見せていくもので
そんな一つ一つの感覚が感じられるようでした。
戦場でさえ
時に詩情に満ちて美しかったりすらするのですが、
こちらもまた悲惨、の一言で片付けてしまえない
五感に直接訴えかけてくるリアルさがありました。
(リアルといってもやはり詩情にくるまれてはいました。)
引き揚げ兵士が何万(何十万?)と集まり、
船を待っている情景は圧巻、でした。
ここは1000人以上エキストラを使い、
6分の長回しをしたのだそうですが、
馬の射殺シーンとか兵士の合唱とか(賛美歌でしょうか?)、
現実なのか、もしくは幻想なのかわからなくなる
これもまた五感に迫る迫力の映像でありました。
ロビー(マカヴォイさん)の幻想もあいまって
こちらまで息苦しくなる思いがしました。

ロビー視点のお話が続き、
彼がメインなのかなと思い始めたところで、
きっぱりとブライオニー視点に移動しました。
なんだか唐突な感じがしましたが、
これにも物語のラストにつながるものでした。

やってしまった過ちは永久に取り返しがつかない。
例え謝罪することができても、
許してもらえることができたとしても。
ですが、このケースでは、
階級社会が最悪の結果を導いた真犯人であったはず。
彼が犯人などではないと
周りの大人にだって本当はわかっていたはず。
ただ誰かを犯人を仕立てる必要があり、
(身分違いの男を娘から引き離すためもあったのか?)
ブライオニーの証言を否定しなかっただけ。
見ていたらこいつが絶対犯人だ!(こらこら)とわかるのですが、
それでは都合が悪かったのだろうとすら思えてしまいました。

そしてブライオニーですが、
彼女が多感で潔癖な年頃で
さらに鋭い感性と空想力の持ち主だったということを除いても、
結局嫉妬心や怒りから
間違いを犯してしまったのかな?という点が疑問だったのですが、
次々と積み重なる状況が
あまりにも彼女には酷だったような気がします。
大人たちが無頓着すぎ。
(手紙を入れ間違えるわ、姉への手紙を妹に手渡すとは何事。
読まないわけがないでしょう。)
自信に満ちて「私は犯人を見ました!」と言い切ったのは、
変質者(と信じていたのかと)を自分は告発しているんだ、という
正義感もあったのかと思えば
納得できないことも・・・ないかも・・・。


階級社会と戦争の罪。
沢山の、苦しまず死ななくて済んだはずの命に対する罪のつぐないまで
彼女は背負ってしまったようでした。
ラストの種明かしで、
やっぱりな~、あれでは助からないよな、と思いつつも
涙が出たのですが
(部下の優しさにもしみじみ涙が出ました)、
やはり二人とも若くして亡くなっていたのでした。
作家となったブライオニーの最後の作品となった
真実を語る懺悔と贖罪の物語を
彼らと読者のために書き換えたのは
現実にはありえなかった謝罪と二人の幸せな日々。

二人に会って謝罪する彼女に対し激昂してつかみかかろうとし、
自分を見下していたんだろう
18で死んでいく兵士だっているんだ
真実と自分のやったことを正確に書いて伝えろ
韻も飾りもなしで
・・・そう吐き出すロビーの台詞は、
彼とまたは兵士たちに
代わって
書いた言葉のようにも聞こえました。
無事に帰還してまた軍に戻らなければならないひと時に
姉との時間を過ごす彼、
また海辺の家で楽しげに過ごす二人。
本当になんという贖罪だろうかと。


実はまだまだ言葉にならないのですが、
極めてシンプルな筋のお話を
ずっと深いところまで掘り下げて
極めて繊細に編み上げられた佳作だと思います。
年をとるということは救いにもなりえるのでしょうか。
同じ長い命を生きるなら、
幸せに生きてほしかったな~と思えて、切なくてなりません。

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