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2007年8月11日 (土)

クロッシング・ザ・ブリッジ

ということで、続きです。
ちなみに、映画のサブタイトルは「サウンド・オブ・イスタンブール」です。

一週間限定公開の<トルコ発音楽ドキュメンタリー>を見ることにしました。
東西文化の接点イスタンブールは、それは音楽に「煩い」街で、
エレクトロニカからロック、伝統音楽まで
ありとあらゆる音楽が集まっている・・・というような
惹句にひかれて決めました。
監督は『愛より強く』でベルリン映画祭金熊賞を受賞したファティ・アキン。
公式HPはこちらです。

トルコの音楽というと、
高橋由佳利さんの『トルコで私も考えた』の中で、
トルコの若者はとても情熱的で、
演歌(トルコのですが)を聞いては熱く涙する、とありましたが、
音楽を創る側の人たちはさらに情熱的で創造的なようです。
それも聞く側の需要が拍車をかけているのかもしれません。

音楽を巡る旅のガイドは
イスタンブールの多様な音楽に取り憑かれた
アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンのメンバーであり、
ベルリン・アンダーグラウンドの重鎮アレキサンダー・ハッケ。
彼が機材をかかえて各地を旅し、取材し、
セッションしつつ録音してまわったドキュメンタリーなのですが、
最初は怪しい?ヒゲ面のおじさんたち(案内人含む、すみません~)
アップがやたらと続いて(爆)
なかなか音楽シーンがはじまらない。
ロックな音楽がしばし続き、
最後までこれだったらどうしましょう;;と思っていたら、
どんどん多種多様な世界に広がっていき、ほっとしました(ロックは不得手;;)。
60年代から現代のトルコ・ロックをリードして(苦労もして)きた
大御所エルキン・コライが登場したあたりで
本当にほっとしました。
現役で歌い、ステージで若者や元若者に熱狂的に指示される彼は
カッコいいし色気がありました。
いまだ孤高にして開拓精神、反骨精神がみなぎっているようです。

ネオ・サイケデリック(って何?TT)なバンドの数々のあと、
アジア側に渡って、
ヒップ・ホップのバンドが続きますが、
感心し面白くも思ったのが、
若者たち(そうでない人もいますが)の音楽やダンスの腕前や、
より良いものを目指しつつ
民族性をミックスした独創性を追求する
プロ意識の高さもさることながら、
ただ音楽をやるだけではなく、
音楽でこれを伝えるんだ、という明確な視点を持っている人が
沢山いることでした。
欧米などの世界を見る目も鋭く、
自分の住む世界の問題(貧困やドラッグなど)のことも考えていて
両足が実にきちんと地についています。
あの生き馬の目を抜くイスタンブールで生活しているのですから
当然でしょうか(違)。
劇中のある親子の会話。
「こいつがヒップ・ホップをはじめたときには反対しました。
私が若いときには、
エリック・クラプトンやジミ・ヘンドリクスが神だった。
だって、歌っていうのは旋律にのせて歌うものだろう?
だが、今では息子の選択は正しいと思っています。」
・・・この街の音楽層ってやはり濃いような気が。

さらに、聞いていて総毛立つ(←誤用;;)音楽シーンが続きます。
ステージやセッションなど様々ですが、
あるものは洗練され、あるものは情熱的で、あるものは胸を打ち、
まことに生き生きとしたものです。
スーフィー(イスラム神秘主義)音楽のネイ(葦笛)をあやつるメルジャン・デデ。
ジプシー3兄弟の見事なステージ!
ジプシー音楽の英雄セリム・セスレル(クラリネット)。
忘れられていた音楽を発掘して世に出したブレンナ・マクリモン。
かつては政府の圧力で歌うことができなかったクルドの歌を
力強く歌うアイヌール。
演奏はどれもこれもが技術的にも高く、圧巻でした。

さらには70年代の大スターオルハン・ゲンジェバイ。
最初に昔風の映画のシーンが出てきまして、
ラジニカーント(インド映画の大スター)か?突っ込みかけましたが、
いや、加山雄三かも、と頭の中で訂正しました(違)。
民族楽器サズの新しい演奏法を編み出して
アラベスク(演歌、でいいのでしょうか)に定着させた大御所でした。
最後に登場したのがトルコ音楽界の大スターセゼン・アクス。
今も老若男女に大きな支持を受ける彼女の歌もまた
素晴らしいものでした。

イスタンブールの雑踏や裏小路からはじまった旅は
随分遠くまで私の意識を連れて行ってくれました。
地理的にも文化的にもはざまにあるこの国は
常にとどまる所を知らず、
進化を余儀なくされているのかもしれません。
最初は乗り切れませんでしたが;;、
なかなか垣間見られないディープな音楽世界を見るのにも
一風変わった旅映画として見るにも
よい映画かと思います。
探してみたいCDがまた増えました(^^)。

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