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2007年7月12日 (木)

村田エフェンディ滞土録

先日本屋さんで出会って、顔がほころんでしまった本です。
(この時点では内容もわかっていませんが;;。)
文庫を見たら即買いのお一人、
梨木香歩さんの文庫新刊です(^^)。
『西の魔女が死んだ』などでお名前はよく聞いていましたが
話題本に関しては返って手が出ないほうで、
さらに言うと浅く広くの乱読ができず、
特に小説は物語を「消費」することができないので
新規開拓は大変不得手な私。←指輪病の後遺症だと思っていますが。
なので、初めて手にした著書は
エッセイの『春になったら苺を摘みに』でした。
(星野さんの写真につられたというのもあります。)
小説やモノガタリの「はずれ」は店頭ではすぐに判らないのですが、
エッセイならある程度当たりをつけることができるので
気軽によく読むのですが、
これが大当たりでした。
エッセイなのに(←失礼ですね (_ _;)
その奥に膨大な引き出しのある匂いがしたのです。
語り口に無駄がなく
様々な人々の持つ背景の物語を
惜しげもなくどんどん語っていただいていて、
下手な小説よりよほど濃く完成度の高い物語のようだったし、
なにより久しぶりに
凛として豊かな日本語に出会ったなと思ったのでした。
それから西の魔女、りかさん、からくりからくさ、と
次々に読み進み、
五感六感で感じられる豊かな世界で過ごす幸せを
久方ぶりに味わったのでした。

『エフェンディ・・・』は、『家守綺譚』にもちらりと登場した
綿貫さんのご友人の村田さんのトルコ滞在記で、
時は明治、トルコ革命前後の頃を舞台にしています。
家守綺譚ほどではないものの
「不思議な存在」がちらちらと登場してきますが
格別にそれらがどう活躍するということもありません(多分)。
村田がそこに滞在した短い時間に
色々なひとたちの人生が出会い共にそこにいたこと、
言葉を交わし関わって生きた時間が
おしまいになって色鮮やかに心に蘇ってきます。
なにもここまで皆がいなくならなくても、と思わないでもないですが、
ここに物語の意味もしくは
語りたいことがあるのだろうとも思います。
何国人であろうと、どのような信仰を持っても持たなくても、
どのように違いを持ち、時に弱さを持とうとも、
己に恥じず誠実であることは
人としての価値を決めます。
鸚鵡ではじまり鸚鵡で物語は幕を閉じますが、
最後のところで
おばあちゃんの「アイ・ノウ」と同じくらい
背中に電気が走って泣かされたことを白状しておきます;;。
ちょっと古風な日本語をすらすら読み解けるほどに
充分な国語力は私にはないと自負自覚しておりますが、
そのレベルでも充分に
ちょっと昔の背筋の伸びた(品のある、といいますか)
誠実な含みのある明治の日本語を楽しむことができます。

読んでいると
波津彬子さんのもののけ?の世界をつい連想してしまうのですが、
(英国シリーズも好きで、ヴィルヘルムが沢山!出るというので
『花々のゆううつ』も即買いしました;)
牡牛の角や牡羊の角、それに稲荷が加わって
しんみりと考え込んでいる光景など、
夢でもいいから見てみたいものです。

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コメント

うっかり話です。村田エフェンディ滞士録・・・だと思ってました。ええっと、どこが違うか、わかりますかね?土耳古でトルコなんですよね。村田さんのトルコ滞在記録、という意味なのに、なんで武士の士の字と取り違えるかな、私。ものすごく熱烈に好き、というわけではありません。心が落ち着いてるときに読むべき本だと思います。ゆっくり心に浸透させたい本です。いい作家さんですよね、本当に。

投稿: てんてん | 2007年7月16日 (月) 19時40分

たまたま、村田さん=トルコで考古学留学した友人、と記憶にあったから違和感がなかっただけで、でなければ私もしばらく意味がとれなかったと思います(^^;)。読み流してしまうのがもったいないと思える数少ない作家さんです。もっとも元々そんなに沢山の作家さんを知らないだけなのですが。

投稿: may | 2007年7月16日 (月) 20時25分

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