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2007年7月 8日 (日)

サン・ジャックへの道

それぞれ家庭と事情を持って暮らしている険悪な仲の兄弟
長男ピエール、長女クララ、次男クロードのもとに
ある日手紙が届く。
母親が亡くなり、その遺産は全額寄付されるが、
兄弟が揃って巡礼ツアーに参加するならば相続できるとのこと。
金なんかいらない会社社長のピエール、
夫が失業中で一家の大黒柱の高校教師のクララ、
無職で妻子に捨てられアルコール依存症のクロードは
結局ツアーに参加することにするが、
重い荷物を背負い
(クロードは文無しのため荷物が用意できず人に借りまくり)
ひたすら岩場や野原や草原を歩いて歩いて歩きまくる旅。
ゴールは1500キロ先の聖地サンティアゴ・デ・コンポステーラ。
子供のようにいがみ合い、取っ組み合い、
ケンカを続けるきょうだいにツアー参加者は眉をひそめるが、
他の参加者もまたいろいろで、
長く辛い(でも美しい)歩く旅によろけたり
時に元気に駆けたり歌ったり、
少しずつそれぞれの人生に関わりあいながら
長い旅路の間に連帯意識が生まれ、仲間のようになっていく・・・。

というようなお話だったのですが、
のっけからの3きょうだいの個性の強烈なこと。
口のたつこと辛辣なこと。
最初の長男の長台詞から笑いこけてしまいました。
ワガママだったりノーテンキだったり
でもそれぞれに人生の荷物はしっかりかかえていて
時折夢として出てくる奇妙でシュールな映像に現れます。
でも皆さん、とても素直なんです。子供のように。
ものすごくストレートで真っ正直。
(取っ組み合いっぷりもあまりに子供のように直接的で
びっくりしましたが。)
頭にスカーフを巻いて参加したマチルドも
ガイドとして(主に調停役で活躍したかもしれない)
頼もしいギイも、
それぞれに離婚したり浮気されたり
妻や子供の病気で悩んでいたりするのに
ケータイの電波も届かないところにきてしまっているので
つらい思いをしたりしているわけなのですが、
だんだんそこから突き抜けて
一日歩くのもやっとだったのがいつのまにやら健康体になるとともに
一緒に歩いた仲間と新たな絆が生まれたり
自身の家族の再生を見出しはじめたりしました。
最後のくだりで落とし穴;;があり、
一気にだーっと落涙しましたが、
終わりに近づくにつれ、人間も捨てたものではないなあと思いました。
自分の主張を振りかざしたり考えなしなことをしたりするけれど、
優しいのですよ。
長男の変化には一番驚かされましたけど、
きつい旅をしているうちに
長年のうちに心を覆っていった何層もの殻が解けて
物事の本質が見えるようになり
長男自身のよい資質が表れてきたのかなと思いました。
それは長女も他のツアー客も同様で、
お気楽2女学生も、ムスリムの従兄弟のセーネン(少年?)たちも
一体この先どうなるんだろうと思っていましたが
みんなとってもいい子で
つられてもらい泣きしてしまいました(_ _;)。
旅が終わって3兄弟が母親の家を訪れるのですが、
見事に揃った3人の足並みが素晴らしかったです。
さすがは1500キロを歩きとおした脚力。
映画のコピーは
「人生って捨てたもんじゃない。」だったのですが、
人間っていいもんだな、と思いました。
自分に素直に生きるって大事だな、とも。
(クララほど達者に毒舌を吐いたほうがいいとは思いませんが。)
後半、難読症のラムジーに教えられないと渋っていた国語教師のクララが
見事に難読症を克服させる手腕は見事で、
さすがはベテラン教師でした。
最初に渋っていたのもプロとして完璧を求めたからなのでしょうか。
最後のシーンは駄目押しで泣かされました。(←泣きすぎ;;。)

サンチャゴ巡礼と聞いて、
『修道士ファルコ』や『アルカサル-王城-』しか
思い出せなかった私ですが(^^;)。
現代の巡礼ツアーはなんというか、本当に「ツアー」なんですね。
もちろん「名所旧跡」にも寄るのですが、
信者のそれと言うよりは、もっと気楽で、
「個人的」な旅のようでした。お伊勢参りのようなものといいますか。
浮世から完全に切り離された状態で、
自然の天候に振り回されながら自分の足で歩くことが
現代の巡礼なのかもしれないなと思いました。憑き物も落ちそう。
ベテランガイドつきで
本人の体力以外(爆)はおまかせ安心の旅で、
エコツアーの歩く旅と似通ったものを感じました。
やはり旅はいいものです。(そこですか;;。)

あちこちで結構笑いこけたりもしまして、
だんだんにじんわりと暖かくなるいい映画でした。
話の運びも淡々としていて、適度な距離とギャグ?がグッドでした。
美しいヨーロッパの巡礼路を一緒に
足を引きずって右往左往しながら旅している気持ちになれたのも
大変良かったです。

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