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2006年12月22日 (金)

敬愛なるベートーヴェン

原題は“COPYING BEETHOVEN”。
「敬愛なる」は・・・他の言葉がなかったのかなあとちょっとひっかかりました;;。
気持ちはわかるんですけど。

第九が聞けるとあまり期待しないほうがいいと聞いていて、
期待値が低かったのが幸いしてか、
音楽がとても良かったです。私としては大満足。
元々ベートーヴェン好きなので、全編で堪能できて幸せでした(^^)。
交響曲に合唱というのは画期的な発想だったのでしょうか。
人の声の力ってすごい。音楽と相乗効果でそれだけで泣けます。
割とお話をさらりと流してあるのも意図的なのでしょうか。
音楽のポイント(第九初演シーン)だけできっちり泣けました。

(一応一部白文字にいたします。)

第九初演の4日目前に
優秀な音楽学校生で作曲家志望の女性アンナが
コピスト(写譜師)としてベートーヴェンの元に雇われることになり、
彼の最期まで彼の音楽を書き取り、看取ったというお話です。
絡みといえるところにはひたすら音楽がありました。
ベートーヴェンというと、
「ヒスを起こすので友人はよりつかず酒の飲みすぎで胃は痛むし
へつらうには自尊心が高すぎ近視で難聴でもうめちゃくちゃだったので」
という台詞がつい浮かんできますが(@トーマの心臓)、
そのまんまかそれ以上に
破壊的で支離滅裂で感情のコントロールができなくて、
でもそれも、誰より「神に近い」位置にいた芸術家だったからなのだろうと思える、
大熱演のエド・ハリスでした。(体型も作ったのかな・・・。)
若い娘さんが嫌になるような下品ぶりで
どっぷり俗世にまみれて
才能のない甥を溺愛してグレさせてしまうダメ叔父だったり、
すぐヒスをおこすわりには結構小心者だったり。

癖だらけのベートーヴェンに対する若きアンナの
少々おびえつつもきっちり言い放つ毒舌ぶりも良い。
ベートーヴェンの作品も、不良の甥の悪行も、
恋人の建築家の作品の評も、ダメなものはダメとはっきり言ってしまう。
天才肌でかんしゃくもちのベートーヴェンに似たところがないともいえない。
(品はあるし清潔ですけどね。)

ダイアン・クルーガーは、「戦場のアリア」といい音楽づいていますが、
役柄は断然今回の方がよかったです。

第九の初演のシーンは
ほとんど聴覚をなくした彼が指揮ができないという緊迫した状況からはじまり
(それまではわりと会話も出来ているし結構聞こえてたんですね)、
合唱部分まで辿りつく頃には
ベートーヴェンも、指揮を手伝ったアンナも、
観客とオケと一緒に音楽の喜びに埋没し、
演奏が終わった瞬間大歓声が起こり、観客は総立ちに。
けれど、彼にはなんの音も聞こえず、静寂があるのみ。
アンナに促されて振り向いて、初めて大成功したことを知ります。

本当に、彼の頭の中には音楽が溢れていたのだなあと思いました(TT)。

大絶賛された第九。
革新的すぎて大衆にもアンナにもまだ受け入れられなかった大フーガ。
病に倒れてベッドの上から口頭で書き写された天の声のごときコラール。

愛した森の風景に、鳥のさえずりに、風の中に、常に音楽を聴き、
新たな神の声を見出していたベートーヴェン。
彼は天賦の才を持って生まれた代弁者で、
彼と同じ「時代の先を見通す目」を持っていた同時代人はいなかったのでしょう。


当時の治療は血を抜くだけだったと聞いたことがありますが、
それもきちんと描かれていました(・・・と思います)。
(癌の薬は酢漬けの鯉とか・・・。
鯉の生き血というのは聞いたことがあるかも(これは日本の話か)。)
かえって体力が無くなるだけじゃないかなあ・・・。

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